こんにちは、イラレ常人です。
今の日本は、本当に横文字が多くて疲れますよね。
日本語で書けばわかりやすいものまで横文字にしている感じさえあります。
ということで今回は、「オンデマンド」と「オフセット」とは何なのかを解説していきます。
急いでいる方は、まとめまでスキップしてくださいませ。
オンデマンド印刷って?
「オンデマンド」という言葉は、テレビでも聞きますよね。
これは「需要に応じてサービスを供給する」という意味です。
現にテレビのオンデマンド放送は、視聴者が見たい番組を選択して、それをテレビ局が配信するというシステムですよね。
それを印刷に当てはめると「印刷したいものを印刷業者が必要な部数だけ印刷する」という意味合いになります。
これを聞いて
必要な部数だけ印刷するのは当たり前じゃん
と疑問を思った方もいるかもしれません。
たしかにその通りで、おっしゃっていることは正しいです。
そこで注目していただきたいのが「印刷コスト」と「印刷部数」です。
「オンデマンド印刷」と、このあとご説明する「オフセット印刷」では、印刷コストと適している印刷部数に違いがあります。
この違いについてはあとで図説しますが、今ちょっとだけ触れておくと、オンデマンド印刷は小部数を印刷したいとき、低コストでその要望に応えてくれます。
オフセット印刷って?
オフセットとは「ある位置からずらした位置」という意味です。
何のことだかさっぱりですね。
次の項目「それぞれの印刷の仕組み」でご説明する印刷の仕組みがわかれば、理解が深まるかと思います。
先にどのような印刷なのかをお伝えしておくと、オフセット印刷は「印刷業者が版下(はんした)を作って、それをもとに印刷する」方法です。
版下の意味についても、次の項目でご説明します。
ここでもちょっとだけ、印刷コストと印刷部数について触れておくと、オフセット印刷は大部数であればあるほど、コストが下がっていきます。
それぞれの印刷の仕組み
オンデマンド印刷の仕組み
オンデマンド印刷は「版下を作らずにパソコンから直接プリンターに印刷データを送り、印刷する」方法です。
版下とは本来、「印刷する元となる原稿」のことを指します。
手作りスタンプでいうと、どんなスタンプにするかを描き記した図案です。
オンデマンド印刷ではこの版下を作らずに、データ化した画像をパソコンからプリンターに送って印刷しているということです。
版下は制作にコストがかかるため、少部数印刷のためにこれを作ると、割に合わなくなってしまいます。
だから版下を作らない、つまりコストが少ないオンデマンド印刷は少部数印刷に適しているといえます。
オフセット印刷の仕組み
オフセット印刷は「版下を作って、それを一度、転写用のローラー、専門用語でいうとブラケットに転写し、さらにそのブラケットから印刷用紙に印刷する」方法です。
版下から印刷用紙に直接印刷しない、つまり版下と印刷用紙が離れている、ズレているという意味合いで「オフセット印刷」と呼んでいるわけです。
先ほども申し上げた通り、版下は制作コストがかかります。
しかし、大部数であればあるほど、版下の単価は下がっていきます。
このような理由から、オフセット印刷は大部数印刷に適しているといえます。
それぞれのメリットとデメリット
ここで一度、2つの印刷方法について整理しておくと、
オンデマンド印刷
版下の制作コストがかからないので、少部数印刷に適している
オフセット印刷
版下の制作コストがかかるので、その単価を下げるために大部数印刷に適している
ということですね。
ここからは、両者のメリットとデメリットをご説明します。
オンデマンド印刷のメリット
まず、オンデマンド印刷のメリットですが、1部からの印刷にも対応できます。
実際に1部から対応している業者は多くないとは思いますが、わかりやすい例を挙げると、ナンバリングの入ったチケットなどです。
1枚1枚が違うものをいちいち版下を作って対応していては、コストがかかり過ぎてしまいますよね?
その点、オンデマンド印刷は、印刷物がそれぞれが違うものの印刷でもスピーディーに対応できます。
最初の方にお話しした「印刷したいものを印刷業者が必要な部数だけ印刷する」というのは、このようなケースで特に活きてくるというわけです。
オンデマンド印刷のデメリット
続いて、オンデマンド印刷のデメリットですが、「発色がオフセット印刷に劣る」「印刷が2mm程度ずれる」といったものがあります。
プリンターはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、いわゆるCMYKの4色を組み合わせて印刷しています。
そして、その組み合わせには限界があり、どうしても表現しきれない色があります。
そのような意味で、オンデマンド印刷は発色に劣ります。
印刷がずれるというのは、機械上の問題です。
家庭用プリンターもそうですが、オンデマンド印刷の給紙は極めて機械的です。
人間の目であれば2mm程度のズレは少し見れば気付きますが、機械は給紙トレーのサイズに収まっていれば多少のズレには気付きません。
このような理由からオンデマンドにはズレが生じることがあります。
あと、デメリットといえば、もう1つあります。
オンデマンド印刷は、版下からの転写印刷ではなく、粉状のインク、これをトナーといいますが、トナーを熱によって紙に定着させているので、あまりに小さい字や細かい表現は滲んでしまいます。
オフセット印刷のメリット
まず、オフセット印刷は発色が綺麗です。
CMYKインクでは表現しきれない色を、特色インク(DIC)が表現してくれます。
もちろん、CMYKインクだけの印刷も可能です。
また、オフセット印刷はズレや滲みが出づらいです。
オフセット機械は精密な見当合わせが得意なので、ズレが出づらいんです。
滲みに関しても、転写用ローラーであるブラケットにインクをつけ、それを印刷用紙に押し付けるので、鮮明な表現が可能になっています。
このような特性から、オンデマンド印刷は細かな色彩表現が必要とされる美術関係の書籍印刷などで活躍することもあります。
オフセット印刷のデメリット
最後に、オフセット印刷のデメリットですが、印刷の質では特に問題はないです。
1つデメリットを挙げるとすれば、納期がオンデマンド印刷に劣るという点です。
理由は、版下を作るために時間を要するからです。
まとめ
結局、オンデマンド印刷とオフセット印刷、どっちが良いの?
というお話ですが、すごく単純にまとめると、
オンデマンド印刷
短い納期
低コスト
小部数
オフセット印刷
仕上がりの綺麗さ
大部数
といったところです。
制作物の状況に応じて印刷方法を使い分けてくださいませ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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